此処は並盛という名の、まさに平々凡々の四文字がしっくりとくる、いたって平和で、普通な町だ。 この町はついこの間までとある事件のため混乱に陥っていた。 そのとある事件とは、この町にある「並盛中学校」の生徒達が無差別に襲われるというものである。 その事件は無事、この町の秩序である「雲雀」という少年の手によって解決した。・・・表向きは。 そう、「表向き」は。 「剥がれた仮面、さらされる素顔」 今、並盛中学校・・・並中の校門に向かって、常人では考えられないようなスピードで走る一人の少年がいる。 彼の名前は沢田綱吉、並中の二年生だ。 今でこそその素晴らしすぎる運動神経を惜しげもなくさらしている彼だが、並中襲撃事件までは「ダメツナ」と クラスメート達にさんざん馬鹿にされてきたほど、頭も悪く、これでもかというほど運動音痴だったはずである。 なぜそんな彼がこんな状態になっているかと言えば、「表向き」ではなく、事件の本来の真相の結果である。 彼はイタリア屈指のマフィアであるボンゴレファミリーの次期十代目ボス候補である。 なぜなら、彼の祖先はボンゴレファミリーの初代ボスだからだ。 ボンゴレのボスは代々、ボンゴレの血族がつとめるという掟があるという。その血族のせいか、彼は赤ん坊の頃から 早熟すぎる精神と実力をもっていた。過去に大人達に気味悪がられた事もあり、彼は「ダメツナ」という仮面を 被っていたのだ。だが、並中襲撃事件を起こした張本人である黒曜中の六道骸という少年に勝つために、 ダメツナの仮面を脱ぎ捨てたのだ。そのため、演技をやめたのだった。 今丁度、事件に関わった彼の友人二人が、校門前で綱吉に話掛ける。 「よぉ、ツナ。怪我の調子はどうだ?」 今話し掛けた黒髪で長身な爽やか系(内心はその髪の様に黒いが。)の少年は山本武。 「なっっ!野球馬鹿!テメェは十代目に触るんじゃねぇ!!!」 その山本に食ってかかる少年は獄寺隼人。ツナ命な忠犬を思わせる人物だ。 「隼人、落ち着いて。」 「ですが、「いいから落ち着いて。」 自分の会話を遮られ言われた言葉に落ち込む獄寺。 そんな彼に見せつけるようにスキンシップ(という名のセクハラ)をとり、ツナに見えない角度で勝ち誇った笑みを 見せる山本。 その笑みを見た獄寺が切れかけたそのとき、 「お?ダメツナじゃん。お前、一ヶ月も入院してたんだってなぁ。まーた不良にでも絡まれたんかぁ?」 前方から来ていた5人くらいの同級生の一人が言い、続けざまに笑いが起こる。 「な・・・!てめぇら・・・よくも十代目の悪口言いやがって・・・!」 その言葉を聞き、こんどこそ切れた獄寺がダイナマイトを持ち、戦闘態勢に・・・ 「だめだよ、隼人。学校のみんなはホントの俺の事知らないんだから。あと、ダイナマイトはダメだって。」 その言葉に、ツナ達三人組以外は、ツナの口調や呼び方、ホントの俺と言う発言に驚く。 「あぁ、俺ね。ちょっとした諸事情で被ってたダメツナの仮面を脱ぎ捨てたんだ。だから今の俺は、なんでも出来ちゃう 万能優等生ってとこかな。」 そう言いつつ、優美に微笑むツナに、見ていた皆が心を奪われる。 「あ、遅刻しちゃうよ!隼人、山本、行こう!」 その言葉に獄寺と山本は我に帰ったものの、他の皆はチャイムが鳴るまでそこに立ちつくしていたと言う。 何とか遅刻を免れたツナ達は、1限の数学の授業を受けていた。 「じゃあ、沢田。次の問題答えてみろ。」 「3です。」 わざと難しい問題を用意した教師に対して、余裕で答えるツナ。 そんな今までのツナならありえない行動を目の前にし、驚くクラスメート達。 「お、おい・・・。どうかしたのか、沢田・・・。」 熱があるのでは、と心配した教師が声を掛ける。 「気にしないでください。諸事情で平々凡々のある生活を諦めて、ダメツナという仮面をぬいだだけですから。」 ご心配なく。とまたも優美に微笑むツナにクラスメートは心奪われる。 「ツナは凄いんだぜ!獄寺より頭いーし、俺より運動もできるしな!」 と言う山本の発言で、女子は 「ダメツナの本性は獄寺君と山本君よりいい男・・・。いいかも・・・。」 といきごみ、男子は 「あいつは男だ!体育や水泳でも証明されてるはず・・・。」 とつぶやいている。山本の言葉と目の前にした事実により、クラスメートはすんなり本性を受け入れたようだ。 ツナがクラスメート全員を誑し込んだ次の授業、2限の体育では、 山本以上の活躍で、グラウンドにいた1年B組の全員も惚れさせてしまった。 そんな授業を終えて昼放課になった時には、ツナの本性が全校に知れ渡ったのだった。 そのためツナと一緒に弁当を食べたい女子も居たのだが、山本と獄寺が睨みを効かせていたため、近づける者は もともとツナと親しい京子と黒川ぐらいしか居なかった。 「それにしても、沢田がまさかこんな奴だったとはねー。・・・でも私、大人な人がいいから、どれだけ美少年だったり しても、同年代とか年下はパスパス。」 「相変わらずだね、黒川は。(まだ大人ランボのこと好きなのかな・・・。)」 「そう言えばツナ君。事情ってなぁに?」 「・・・そうだねー。強いていうなら・・・跡継ぎ問題?」 「へー・・・。ってなんの跡継ぐのよあんた。」 「んとぉ・・・。日本語で言えば、あさり家族?一家の主は死に損ない・・・かな?しぶといけど。」 「十代目・・・。(日本語は確かにそうですが・・・。)」 「ツナ・・・。(いくら嫌いだからってそれは無いんじゃ・・・。)」 そんな会話をしている五人組を羨ましそうに見つめるクラスメートの姿があったとかなかったとか。 そうこうしているうちに学校は終わり、部活がある山本より先に獄寺と帰るツナ。だが、人通りのない場所に入った とたん、悲しげな顔をして俯き、口を開く。 「ねぇ、隼人。・・・俺、やっぱり十代目にならなきゃいけないのかな。」 「十代目・・・。(そういえばこのお方はそのせいで演じていらっしゃったんでしたっけ・・・。)」 「俺、みんなを巻き込みたくないよ・・・!」 「十代目!そんなことはありません!十代目が十代目にならなくとも俺はついていきますし、巻き込まれたとしても そう簡単に傷つくほど、俺も他の奴らもそんなやわな奴じゃありません。」 「隼人・・・。」 「あ、十代目。お宅につきましたよ。」 「え?あっ!いつのまに・・・。それより、ありがとね。隼人。おかげで少し楽になったよ。」 それじゃあ、また明日ね!そう告げる十代目はいつもよりお綺麗に見えた。 「ただいまー。母さん、ご飯できてるー?」 「あら、つっ君。お帰りなさい。ご飯ならもう少しでできるわよー。」 俺はいつもの会話のあと、自分の部屋のベットに飛び込んだ。そしたら、家にいる漆黒の赤ん坊が声を掛けて来た。 「・・・おい、なんかあったのか?」 「リボーン・・・。なんでもないよ、隼人ってたまにいいこと言うよなぁって思ってただけ。」 「そーか?ならいいんだが・・・。」 「つっ君!ご飯出来たわよー!」 「はーい!今行くよ!・・・リボーン母さんが呼んでるよ。早くいこう。」 「いや、おれはもう少ししてから行くぞ。」 「そう、じゃあ俺、先に行ってるから。」 そういって部屋をでたおれの生徒は、演技をやめて生徒全員に惚れられたにちげーねぇと思った。 「いただきます。・・・母さん、リボーンはもう少ししてから来るって。」 「あらあら・・・、どうしたのかしらね?」 「ギャハハハ!ランボさん参上だもんねー。」 「☆#%£¢★@■◎○◇▲!(ランボ!静かにしなさい!)」 「あらあら、ランボ君。いい子だからご飯は静かに食べましょうね。」 「ランボさんいい子なんだもんねー。」 「静かにしてろよ、ランボ。・・・やっぱり、普通が一番だなぁ・・・。」 そう言って溜息をつくと、カタン、と玄関から音がした。 あれ?郵便でも来たのかな?なんか、 嫌な予感がするんだけど・・・。まぁいいや、放っておこう。 「ツナ、お前なんかされなかったか?」 いつの間にか来ていたリボーンが俺に聞く。 「なんかってなんだよ。」 「やあ、沢田綱吉。君やっぱり草食動物の皮を被った肉食動物だったんだね。」 「雲雀さん!いつのまに・・・。ってかどうしてここに?」 「実はね、今日、新たなファンクラブが並中で結成されたみたいなんだよ。」 「ファンクラブ?なんで俺に言うんです。」 「おまえにカンケー大ありだからだぞ。」 「俺に?どんな関係なんだよ。」 「君のファンクラブだよ。」 「・・・俺の?」 俺はおもわず素っ頓狂な声を上げてしまう。 「そう、君の。全校生徒・・・風紀委員会と君と黒川って女子をのぞいてだよ。それと、教師、挙げ句には校長も そのファンクラブに入っているんだよ。その上、ファンクラブ会長があの南国果実、副会長があの腹黒少年と駄犬だ。 せめて教師とその三人は咬み殺していいよね?」 「はぁ・・・。そんなものが出来るとはね・・・。いいですよ。どうせ雲雀さんのことだから、止めても聞かないでしょう。」 「よくわかってるじゃない。それじゃあ、ちょっと咬み殺してくるよ。」 それだけ言うと、雲雀さんは庭に面してる窓から出ていった。玄関近いのに。 「だろ?だからなにもされてねーか聞いたんだぞ。」 「・・・・いつ入ったんだろう、山本と隼人。今日は一緒にいたのに・・・ってか黒川だけ言ったってことは京子ちゃんも? それと、あの変態南国果実、他校生だよね?いいのか?」 「なんでも、あいつらおまえとどれだけ親しいかバトって決めたらしいぞ。河原が全焼したらしい。」 「へー・・・。リボーン、あとで焼きナッポー作ろうか♪」 「・・・・・・あぁ。(骸、一度は反省しろ・・・。)」 こうして、骸を焼くことに決めた俺は、明日父親が帰ってくることになるのも、 普通の生活をじゃましたザンザスに切れ、暴れてウ゛ァリアーのメンツにそろって「暴君」と呼ばれることになること なんて知らずに、普通の一日を送った。 「あ、山本も隼人も説教くらいはしとかないと、ねぇ・・・。」 |